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『機動戦隊ブレイジャー』Mission.01 (avantitle)

 2010-10-31
 

 ―――


 広大無辺なる大宇宙。
 何処までも果てなく続くこの漆黒の荒野の中、二つの光による追跡劇が、音もなく繰り広げられていた。

 先行するのは、禍々しさと神秘的な雰囲気とが同居した、翠碧の光。
 それを追いかけるように、炎のように燃え盛る紅い輝きが後に続く。
 ベクトルこそ違えど、明滅を繰り返すその二つの輝きからは、明らかな生命の鼓動が感じられた。
 ある時は不規則に、またある時は一直線に。追い付いたかと思えばもつれ合い、もつれ合ったかと思えば引き離される。
 そんなデッドヒートを経て、やがて二つの光の行く先に待ち受けるのは、長い長い旅路の終着点。
 荒涼とした星々の中にあって、穏やかにして優しげなその輝きが一際映える蒼き惑星――地球だ。

 ゴールを目前にして、二つの光もスパートをかけるかのようにその速度を高めていく。
 引き離さんと躍起になる翠碧の光に、必死に追いすがろうとする紅い光。
 広がる事はあれど容易に縮まる事はない、決定的とも言える距離がそこには存在していた。
 だが成層圏をつんざき、大気圏に突っ込んだその時、突如として紅い光は内から弾けるような、強烈な閃光へと転じる。本来なら埋めきれぬはずの差を縮め、このデッドヒートにピリオドを打たんとするために。
 その身に纏わりつく灼熱すら味方とし、矢の如き勢いをもって遥か前方の相手に肉薄した次の瞬間――。
 翠碧の光は紅い光の直撃を受け、ガラス細工のように粉微塵に砕け散る。
 輝きを喪い、散り散りになった鋼質な小片は、翠碧の光が本来持っていた姿を思い起こさせた。
 ほんの一部を残し、それらはやがて大気との摩擦によって燃え尽き、そして消え失せていく。
 その様を見届けるように、しばしの間滞空を続けていた紅い光もまた、重力に身を任せるかのように地上へと降下していった。


 それは長きにわたる追跡劇の幕切れにして――新たなる物語の幕開けでもあった。
  

 ―――


 それと時を同じくして。

 夜の帳が落ちた地上では、誰もが平和の裡に眠りを迎えていた。
 もっとも、そんな事などお構いなしに活動を続ける者も中にはいるのだが。
 ほの暗い自室の中、目の前の課題と格闘を繰り広げる少女――千住真帆もまた、そのうちの一人であった。
 黙々と、けれど時折小さくうなりながらノートにペンを走らせるその横顔には疲れが色濃く見える。
 それが長時間にわたる集中から来るものか、はたまた課題の難しさに起因するのかは、計り知れないところであるが。
 それでも、ぱっちりとしたその瞳に宿る熱意だけは、損なわれる事なく存在していた。


 真帆が課題を終えたのは、既に一時を回る頃だった。
 今まで絶えず響いていた、シャーペンの小刻みな音が止み、彼女の短い欠伸がそれにとって変わる。

「……やっと終わったぁ」

 眠たげな目を擦りつつ、広げてあったノートを閉じ、灯りを消した真帆の目がふと、窓の外へと向けられる。
 そこに広がる、何処までも深い夜の闇には、数多の星々の輝きが散りばめられていた。
 この首都郊外でも都市化が進み、見える星の数も減ってきたと言われる中、それでも確かに、この星空は存在していた。

「キレイだなぁ……」

 そんな美しい夜空に目を奪われた真帆が、感嘆にも似た呟きを漏らしたその時だった。
 暗闇に弧を描く無数の光を、そしてその中にあって一際激しく輝く、紅い光をその目に認めたのは。
 それらを即座に流れ星と知覚するや否や、彼女は心の中で念じ始める。

――明日の小テストで……いい結果出せますように……。



 祈る真帆を尻目に、流れ星達は瞬く間に夜空を横切り、その視界から消え去っていった。
   
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